偉大な醸造家の偉大な畑の最後のヴィンテージ、ドニ・モルテ

【2005  Gevrey Chambertin 1er Cru Lavaux St Jacques – Denis Mortet】

1991年ドメーヌ・シャルル・モルテは、息子のドゥニ・モルテ(兄)とティエリー・モルテ(弟)に分割されます。ドゥニ・モルテは自身のドメーヌを始めると同時に賞賛を集め、一躍トップの造り手たちの仲間入りを果たします
しかし、彼の仕事には本質的な矛盾があったと言われています。フィネスのあるスタイリッシュなワインを造りたいと切望していたにもかかわらず、畑とセラーでの仕事から生み出されるワインは、重量感と豪華さをもったゴージャスなワインへと向かっていきました。ワイン造りに打ち込めば打ち込むほど、彼の理想からは離れていく。衝撃的な悲報は、人知れず抱えたそんな苦悩があったからかもしれません。現在は息子のアルノー氏がドメーヌを継いでいますが、ドゥニ・モルテ氏のワインは2005年が最後のヴィンテージとなってしまいました。

今日、ドメーヌを運営するのは故ドゥニ・モルテの長男アルノー・モルテ。2006年、24歳の若さでこの名高いドメーヌの運営を任されることとなった。専門学校を中退し、メオ・カミュゼとドメーヌ・ルフレーヴで研修。13歳の頃からすでに父の手伝いをさせられていたそうだが、2000年以降、フルタイムで働いている。

ドメーヌ・ルフレーヴで研修したのは自身もわずかながら白ワインを手がけ、ビオディナミにも興味があったため。ルフレーヴで働いた結果、ビオディナミの難しさを理解したという。今日、11.2haの畑はきわめてビオロジックに近く、化学肥料、殺虫剤、除草剤には頼らない栽培がとられている

ドゥニ時代のドメーヌのワインは、いかにもジュヴレ・シャンベルタンらしい、強い抽出と凝縮感をもつワインであった。しかし、息子のアルノーは、抽出が強過ぎるのではないかと父の造るワインに疑問を抱き、2000年にそれを訴えて以降、ピジャージュの頻度を減らすようになったという。

【醸造】
醸造法は、原則として完全除梗(2009年のような暑い年は半分くらい全房を含める)のうえ、低温マセレーション。発酵容器はコンクリートタンクを使う。1日1回のルモンタージュと2、3回のピジャージュ。新樽率も父の時代と変わり、以前はほぼ100%新樽熟成だったが、現在は村名ジュヴレ・シャンベルタンで60〜70%まで下げている。熟成期間は18ヶ月。

かつて5つの区画名入りジュヴレ・シャンベルタンを造っていたドゥニ・モルテだが、その後、それらをひとつにまとめた「ジュヴレ・シャンベルタン・メ・サンク・テロワール」に集約。それを今度は以下の3つのキュヴェに整理した。
アン・マトロとオー・ヴェレを中心とするノーマルの村名ジュヴレ・シャンベルタン。
コンブ・デュ・デゥシュとアン・ドゥレを中心に樹齢70〜80年の古木を用いて造られる「ジュヴレ・シャンベルタン・ヴィエイユ・ヴィーニュ」。
それに1級シャンポーに隣接した、小石の多い樹齢70年の区画、アン・シャンのみから造られる、唯一の区画名付き村名「ジュヴレ・シャンベルタン・アン・シャン」だ。

アルノーの時代になり、ワインは力強さと同時にフィネスやエレガンスを備えたものとなり、口当たりはまろやかに、喉越しはスムーズに変化しているのは確か。また、アルノーはマルサネやフィサンなどコート・ド・ニュイ北部のアペラシオンに関心を寄せ、この地域の畑を増やしており、それらのワインの品質がすこぶる高い。ジュヴレ・シャンベルタンに比べてその6割程度の価格で入手可能なマルサネやフィサンは、じつにお値打ちなワインである。

【Gevrey Chambertin 1er Cru Lavaux St Jacques】
ラヴォー・サン・ジャックの畑は、ジュヴレの数あるプルミエ・クリュの中でも、クロ・サン・ジャックやコンブ・オー・モワンヌ等と並び、グラン・クリュにも匹敵すると評される偉大な畑。そして2005年はドゥニ・モルテ自身の最後のヴィンテージ。

品種:ピノ・ノワール

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