ロシア皇帝のアレクサンドル2世に納めたシャンパーニュ、クリスタル

【2005  Louis Roederer – Cristal Brut】

優れた企業家であったルイ・ロデレールは、1833年にメゾンを引き継ぐと、その卓越した洞察力でブドウの栽培に力を入れ、栽培から出荷に至るまで、「ワイン造り」のすべてを極めようとしました。彼は、ワインの独特なスタイル、個性、味わいを築き上げ、19世紀半ばには、シャンパーニュ地方でグラン・クリュ畑をいくつか獲得し、現代的なシャンパーニュ・メゾンとは全く対照的な方法でワイン造りを行ってきました。

他のメゾンがブドウを外から買い付ける中、ルイ・ロデレールは自社畑のブドウの生育にこだわり続け、区画ごとの特徴について造詣を深めたことで、最高の土地だけを厳選して獲得することができました。ルイ・ロデレールが描いた、「優れたワインはすべて、土壌の質、伝統に対する情熱、将来への鋭い眼差しによって生まれる」という基本理念によって、メゾンの名声と評判は確固たるものになりました。後継者であるルイ・ロデレール2世も彼と同じく聡明な人物で、きめ細やかなシャンパーニュ造り、代々伝わる畑の経営方法、天性の度胸を父親から受け継ぎました。

彼は、自身の優れた洞察力で集めた様々な本や絵画からもインスピレーションを得ていました。1870年代に入ると、当メゾンはワインの輸出を開始し、アメリカだけでなく、ロシア皇帝アレクサンドル2 世のもとにも渡りました

生まれ持っての研究者であり、卓越したセンスを備えていたルイ・ロデレール2世は、ロシア皇帝のために特注のシャンパーニュを造り出すと共に、新しい構想を立ち上げました。この、1876年に生産を開始した世界最古のプレスティージュ・キュヴェは、「クリスタル」と名付けられ、それ以来、クリスタルが持つ比類なき精巧さと上品さは、ルイ・ロデレールの卓越性を象徴し続け、高い評判を築き上げてきました。

1920年代には、後のオーナーとなるレオン・オルリー・ロデレールが、非常にバランスの優れた新しいワインを造り出すことに専念し、複数のヴィンテージを繊細に、かつ一貫してブレンドしていくことで、常に最高のクオリティをワインに保てるようにしましたこれが現在の「ブリュット・プルミエ」の基礎となり、このとき培った繊細なブレンド技術が、メゾンの復興に大きく役立ちました。

彼の死後、1933年から、芯の強い女性として知られた元妻のカミーユ・オルリー・ロデレールがオーナーを引き継ぎ、その偉大なる知性と並外れた活力でメゾンの経営にあたりました。カミーユは競馬をこよなく愛し、世界で最も名高い厩舎のひとつを所有していました。同時に、彼女は見識ある芸術の支援者でもあり、シャンパーニュの陽気で楽しい側面も受け入れていました。ランスにあるロデレール所有のタウンハウスでは、壮大な宴が多く催され、彼女が主催したこれらのパーティーはメゾンの歴史に深い影響を与え続けたと同時に、ルイ・ロデレールのシャンパーニュの愉しみ方が、新しい世代のワイン愛好家たちの間に広まっていきました。

醸造家であり農学者でもあった、カミーユの孫、ジャン・クロード・ルゾーがメゾンの全経営を引き継ぎ、ブドウ畑及び栽培が強化されました。彼は、自身が持つブドウ栽培の専門知識を活かして、これまで以上に創意あふれるブドウ栽培を行い、メゾンの基本理念を忠実に実践しました。

独立した家族経営のスタイルを守り続けて、現在メゾンは、ジャン・クロード・ルゾーの息子であり、ロデレール家の7代目にあたるフレデリック・ルゾーのもとに経営が行われています。長きに渡って粘り強く、そして揺るぎない信念で作品を造り続けてきた結果、ルイ・ロデレールの年間輸出総量は今では300万本に達し、世界中でそのシャンパーニュが振る舞われています。

【Cristal】
メゾンで最も有名なこのワインは1876年に、ロシア皇帝アレクサンドル2世の味覚を満たすために生まれました。ロデレールの愛好家であった皇帝は毎年、自分専用のメゾン最高キュヴェを造るように依頼してきたのです。このキュヴェの高貴さを強調するため、出来上がった素晴らしいシャンパーニュを平底のクリスタル・ガラスのボトルに詰めました。そして生まれた新しいワインは、その透明で輝いたボトル素材からクリスタルと名づけられました。

優良年にのみ造られるプレステージ・キュヴェ。シャルドネ40%、ピノ・ノワール60%のブレンド。ルイ・ロデレールのセラーにて6年熟成させ、デゴルマンジュで澱を取り除いた後更に8ヶ月安置しておく。

見事な調和と洗練さを誇るクリスタルは、見事な持続性を持ち、柔かく丸みのある口当たりにフルーティなアロマ。力強いミネラルを感じ、白い花と柑橘類のアクセントも加わります。クリスタルは、その新鮮さと特徴を一切損なうことなく20年以上保存可能なワインです

【2005年の収穫】
2005年はそれぞれの季節と地域間で強いコントラストのみられた年で、冬はかなり冷え込み、春は温暖で、一年を通じて比較的高い気温が続いた。日照は平年以上で、2005年、2004年、2003年の乾季と同じように、やや水不足を伴った。7月には湿度の高い暑さでシャンパーニュ地方では例外的ともいえる果実の肥大を招いたが、8月は冷涼で、その後9月中は晴天が続き、寄生虫による多大な被害が懸念されたものの非常によく熟した。収穫日は例年通りで、ここ10年来同様にシャルドネが9月12日、ピノ・ノワールが9月13日に始まった。

【2005年の発酵と醸造】
ピノ・ノワール55%、シャルドネ45%、オーク材の大樽で週一回澱拡散して醸造したワイン20%。乳酸菌発酵は行わない。クリスタルのキュヴェはグランクリュの「モンターニュ・ド・ランス」「ヴァレ・ド・ラ・マルヌ」「コート・デ・ブラン」から生まれた。地下ワインセラーで平均して5年間醸造し、口抜き後、熟成の仕上げとして8ヶ月寝かす。甘味妙薬はミレジムにより、1リットル当り8〜10g。

【2005年のスタイル】
クリスタル2005は、香の開き方が他年のクリスタルと異なり、また「シャルドネ」の特性が個性となった。2005年の葡萄の熟成度により、個性的なワインとなり、力強さと後口に残る風味の長さ、エレガンスと濃厚さを兼ねもち・・・ブルゴーニュらしい「美食」風味と呼べるだろう。

品種:ピノ・ノワール55%、シャルドネ45%

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