タナ種を主体にした国産ワイン「陽はまた昇る」、ココ・ファーム・ワイナリー

【2011   陽はまた昇る – ココファーム】(2011 The Sun Also Rises – Coco Farm Winery)

1950年代、栃木県足利市の特殊学級の中学生たちとその担任教師(川田昇)によって山の急斜面に葡萄畑が開墾されました。1969年、この葡萄畑の麓で、指定障害者支援施設こころみ学園(社会福祉法人こころみる会運営)がスタートしました。 知的障害を持った人たちと葡萄畑でワインをつくることを考えましたが、社会福祉法人には葡萄をワインにするための果実酒製造免許が下付されないため、1980年、一般の事業所である有限会社が、こころみ学園園長 川田昇の考えに賛同する父兄たちにより設立されました。1984年、この有限会社が果実酒製造免許をいただきました。有限会社ココ・ファーム・ワイナリーは、知的障害を持った人たちをはじめ、みんながいきいきと力を発揮できるようにつくられた会社です

1950年代、当時の特殊学級の中学生たちとその担任教師(川田昇 かわたのぼる:1920年12月18日-2010年12月17日)によって開墾されたこころみ学園の葡萄畑。足利の北の山にあるこの葡萄畑は平均斜度38度の急斜面です。なぜこんな山の奥に葡萄畑を開墾したのでしょう? それは、一介の教師には、平らな土地に農地を得ることができず、山奥の急斜面を開墾するしかなかったからでした。
しかし、このこころみ学園の葡萄畑は、南西向きの急斜面であるため陽あたりがよく、水はけがよく、葡萄にとってなかなか良い条件です。また、この急斜面は葡萄の生育によいだけでなく、障害を持ってかわいそうと過保護にされ、あてにされることもなかった子どもたちにとっても、大切な役割を果たしてきました。
葡萄畑の南側から草を刈りだして、葡萄畑の北側が刈り終わる頃には、また南側の草が茂ってきます。また南側から草を刈りだして、葡萄畑の北側が刈り終わる頃には、またまた南側の草が茂ってくる・・・。除草剤を撒いてしまうと、子どもたちのやることがなくなってしまいますから、この葡萄畑は開墾以来50数年間、除草剤を一切撒いたことがありません。除草剤を一切撒かない葡萄畑には、いろいろな草花がしげってきます。そうすると、その草花にたくさんの虫が寄ってきます。たくさんの虫が寄ってくると、その虫を求めてたくさんの鳥たちがやってきます。そうするとまたその鳥を追い払うために、朝から晩までカンをたたくという仕事が必要になります。 こうして365日やってもやってもやり尽くせない仕事を用意することができました。

知恵が遅れているから何もできないと思われ、何もやらせてもらえなくて赤ん坊の手のようだった少年たちの手は、毎日葡萄畑にいるうちに、たくましい関節のある農夫の手になってきました。都会の自宅で、夜中にあばれて、家のガラス戸を全部割ってしまったという少年が、この急斜面をみんなについて登って降りてしていくうちに、お腹がすいてちゃんと食べて、ぐっすり眠って・・・この山の急斜面は、葡萄のためだけでなく、知的な障害のせいで自分自身をコントロールできないでいた子どもたちが、心身を安定させていくためにかけがえのない役割を果たしてきました
またこの急斜面には車両や大型機械が入りませんから、何でも人間の手でやらなければなりません。今、世界の自然派と呼ばれるワインづくりの人たちは「葡萄畑の一番いい肥料は農夫の足音だ」と言っています。重い車両や機械はその重みで土を固く踏み固めてしまい、水や空気の通り道をつぶしてしまうのです。ここの農夫たちは葡萄畑の虫をひとつひとつつまんで取り除いたり、病気になってしまった葉っぱや粒を一枚一枚丁寧に拭いたり取り除いたり、また、葡萄の一房一房に笠をかけたり・・・。 急斜面のため人間の手でやるしかないこつこつとした農作業が、上質なワインを生み出す手がかりになっているのかも知れません。

【醸造】
ココ・ファーム・ワイナリーでは、野生酵母(天然の自生酵母)を中心に醗酵を行っています。マロラクティック醗酵(MLF)も野生乳酸菌によって自然に行われることがよくあります。野生酵母を使うのは、葡萄本来の自然の持ち味を引き出して、上質なワインをつくるためです。目に見えない微生物の力や、元気な土壌から生まれる元気な葡萄の潜在力を大切に生かしたいと思います。

【酸化防止剤(亜硫酸塩)について】
ココ・ファーム・ワイナリーではワインに必要かつ最小限の亜硫酸塩を添加することがあります。
亜硫酸塩を添加することには、二つの目的があります。
一つは微生物の活動を抑制すること。つまり、ワインの中で好ましくないバクテリアや酵母(酢酸菌、灰色カビ菌、産膜酵母、ブレタノマイセス等)が繁殖するのを防ぐことです。こうした微生物は、できあがったワインの味や香りによくない影響を及ぼすことがあり、たとえば酢酸菌(アセトバクター)という微生物の影響を受けると、どんなに素晴らしいワインも酢に変わってしまいます。
もう一つは、ワインの酸化を防ぐことです。私たちがワインをつくる際に気遣っていることは、それぞれの葡萄の個性を生かし、葡萄の育った自然風土から醸成される複雑な風味を、いかにワインの中にお伝えできるかということです。ワインは本来かなりデリケートで、そのまま放置しておくと、簡単にその個性やバランスを失ってしまいますが、適度の亜硫酸塩によって、ワインにとっては好ましくない酸化の状態を防ぐことができます。

亜硫酸塩をワインに添加するということは決して科学の時代に登場した近代技術ではないということです。2000年以上も前の記録によると、古代ローマ時代の人々がアンフォラというワインを入れる壷に、ワインを満たす前に硫黄のかたまりを燃やして亜硫酸をつくりだし、雑菌の繁殖を防いだのが亜硫酸塩の恩恵にあずかった始まりといわれています。その技術が数千年の過程を経て現在の形で完成しました。
現在、世界の有機ワインづくりにおいても亜硫酸塩の使用を認めています。現在では亜硫酸塩の値を正確に測定でき、ごく微量なレベルでの添加が可能です。日本の食品衛生法第11条の厚生省告示第370号 食品、添加物等の規格基準によれば、酸化防止を目的とした亜硫酸塩の使用基準は0.35g/kg未満で、この数字は成人が長年、日常的にワインを摂取しても健康に害を及ぼさないという判断によるものです。
私たちのワインの亜硫酸塩使用量は、日本の食品衛生法の使用基準のおよそ10分の1以下で、ヨーロッパのデメターなど厳格な基準を持つ国際的なオーガニック団体の基準もクリアしています

【酒石について】
ワイン用の葡萄に多く含まれる固有の有機酸を「酒石酸」といい、その酒石酸がワインに含まれるミネラル(カリウムなど)と結合すると「酒石」になります。これは細かいガラス片のような結晶となってワインの底に沈殿したり、コルクの裏に付着することがあります。ミネラル分の多い上質なワインほど酒石が多く含まれ「ワインのダイヤモンド」と呼ばれることもあります。
酒石は低温下で結晶するため、ビン詰め前にワインを冷却して酒石を結晶させ濾過などにより除去を行うこともできます。ただし同時にそれはワインの風味をそこない、酸化の原因にもなりかねません。ココ・ファームでは葡萄本来の美味しさをお客様にお届けするために、酒石の除去はほとんど行なわずにワイン造りをしております

【澱(オリ)について】
黒っぽい色の固まりや、白く濁った雲状のものがワインのビンに見受けられることがあります。これはタンパク質やタンニンなどワインの成分の一部が、溶けにくい物質となって沈殿した「澱(オリ)」と呼ばれるものです。この要素もワインに複雑さをもたらす大切なものであると私たちは考えています。「澱(オリ)」が出ないようにするために醸造の過程で細かいフィルターによる濾過や清澄といった処理を行なうこともできます。しかし過剰な濾過や清澄は、ワインのコクやうまみを損なうこともあります。私たちは濾過や清澄をできるだけ控えて、濾過無し、あるいはとても軽い濾過をしたワインも多くつくっています。

【陽はまた昇る】
『陽はまた昇る』は山形、長野、栃木など東日本で栽培されたタナとカベルネ・ソーヴィニョンの葡萄からつくりました。しなやかな果実味、しっかりとした酸と渋み。深い紫色をした力強く優しい赤ワインです。その名の通り、葡萄に詰まった太陽のエネルギーが感じられます。 最初のヴィンテージは2009年、最初のビン詰めリリースは2011年、あの東日本大震災後の事でした。

品種: タナ 64% , カベルネ・ソーヴィニョン 36%

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