グラン・クリュ「シュイィ」の緻密なシャルドネを活かして36ヶ月熟成、 ソレラシステムで複雑味のあるシャンパーニュを醸す、A.R.ルノーブル

家族経営の小規模メゾン。グラン・クリュ「シュイィ」に10ha を所有し、その緻密なシャルドネを活かして36ヶ月熟成、 ソレラシステムで複雑味のあるシャンパーニュを醸している。

《100%家族経営》
長い歴史の中でシャンパーニュ・メゾンは買収と合併を繰り返し、現在ではそのほとんどがオーナー企 業に支えられている。 その中で家族経営を続けている珍しいメゾンが「A.R. ルノーブル」。一切出資を受け付けず、自分達のス タイルを貫いている。

『第一次世界大戦の直後、1920 年から 1 度も資本が入った事がない。家族だけだから自分達独自 の考え方で全てを決められる』

創業は 1915 年。激戦地だったアルザスから追われ シャンパーニュに移住した「アルマン・ラファエル・グ ラッセ」家が「ダムリー」でシャンパーニュを造り始め たのを起源とする。 当時のシャンパーニュはドイツから移民が多く、政治 的にフランス人には厳しい環境だった。

『当時はドイツ移民に囲まれてフランス名を名乗る ことはできなかった。だから人名ではなく、高貴とい う意味のフランス語、ルノーブルと名乗った』

初代当主「アルマン・ラファエル」を略した A.R を付 けて「A.R.ルノーブル」と名乗るしかなかった。 現当主は 3 代目の「アンヌ」「アントワンヌ」兄弟。彼 等の父親「ジョセフ」は他のメゾン同様に 1990 年か ら売却先を探したが、1993 年兄弟の説得によって 継続を決めた。

『従業員は 10 人程度。醸造責任者は置かず、栽 培・醸造はアントワンヌが担当。最小規模のシャン パーニュ・メゾン』

《36ヶ月熟成は譲れない》
シャンパーニュの個性は「豊かさ」と「上品さ」のバラ ンスだと「アントワンヌ」は考えている。そして、「A.R. ルノーブル」の理想は「正確さ」があり、「シャンパー ニュである前にワイン」であること。

『高貴なシャンパーニュを造るには時間と自然環境 と忍耐力が必要。その全てが揃うことは非常に稀。 私達は全てを持っている』

彼等の言う時間は熟成期間。最低熟成期間は 15 ヶ月だが、彼等は最低 36 ヶ月も熟成させる。泡が 溶け込み開き始めてから出荷。

『ブリュット・インテンスも 36 ヶ月と非常に長い熟成 期間。更に、このキュヴェには 90 年代前半からのリ ザーヴ・ワインが使用される』

そして、自然環境。積極的に保護していて「生物多 様性」を理想としている。「シュイィ」の畑の隣はとうも ろこし畑と色々な花が栽培され、中央には蜜蜂が 30,000 匹飼われている。

『葡萄は蜜蜂によって受粉はしないが、蜜蜂が増え ることで色々な植物が増える。葡萄だけの不自然 な環境は葡萄を弱くする』

2012 年にはシャンパーニュで 2 番目に「Haute Valeur Environnementale」認証を取得。 最後に忍耐。通常のシャンパーニュの 2 倍以上の 熟成期間は常時、通常の 4 倍の本数をセラーで熟 成させることを意味する。

『今ではほとんどのメゾンの熟成期間は 18 ヶ月以 下。他の資本が入っているから。私達は自分でベス トの熟成期間を決める。忍耐力が必要』

《グラン・クリュ・シュイィに10ha》
本拠地は「ダムリー」で 2.5ha の畑を所有。ピノ・ムニ エに最適な粘土石灰土壌。プルミエ・クリュ「ビズイ ユ」の純度の高いチョーク質の畑が 10ha。

『最も重要な畑がグラン・クリュ・シュイィ。表土は 30cm のみで厚いチョーク層が続く。コート・デ・ブラ ンで最も偉大なシャルドネを産む』
2002 年よりビオロジック。除草剤、防カビ剤、防虫剤 は一切不使用。銅と硫黄もできるだけ使用しない。

『下草を残し、年に 2 回表面だけを耕し、横に広が った葡萄根を切り、根を垂直に降ろさせる』

痩せた土壌で下草も自由に伸ばしているので下草と の共存でストレスを受け、年々収量は減っているが、 葡萄の質は高まっている。

ビオロジックの採用によって区画毎の個性が鮮明に なった。よって収穫を分け、区画毎に搾り、発酵させ ている。

『大樽、フードル樽、ステンレス、バリックを使い分け 区画毎に発酵させることが重要。アッサンブラージ ュで味わいを調整できるから』

彼等のメゾンならではの優位点がリザーヴ・ワイン。 「ブリュット・インテンス」でも 30%以上のリザーヴ・ワ インを使用する。

『リザーヴ・ワインは大樽で 90 年代前半からソレラ システムで保存。よってブリュット・インテンスでも 10 以上の複数年がアッサンブラージュされている』

「ドン・ペリニョン・ロゼ」の葡萄を供給するオーヴィレ村に小さな醸造所を所有、ルイ・ニケーズ

「ドン・ペリニョン・ロゼ」の葡萄を供給するなど1級格付けながら特級と並ぶ評価を受けるオーヴィレ村。醸造学校時代の大親友「ラエルト・フレール」、「ベレッシュ」に遅れてシャンパーニュ造りを開始。

《「ラエルト・フレール」、「ベレッシュ」と共に学んだ》
シャンパーニュの聖地として多くの観光客が訪れるオーヴィレ村の中心に小さな醸造所を所有。「ロール」と「クレモン」夫婦は醸造学校の同級生だった。 「ルイ・ニケーズ」の4代目である「ロール」は卒業後に実家に戻り、醸造家である父親の元でシャンパーニュ造りを開始した。「クレモン」は実家がワイナリーではなかったので「ジャック・セロス」で栽培・醸造を担当。その後、「グラン・クリュ・マイィ」の協同組合でデゴルジュマンの責任者として経験を積んだ。

『ジャック・セロスは偉大な造り手。セロスの畑だからできることも多い。彼が最も優れているところは変化し続けること。僕達も変化する』
2012年より「クレモン」が「ルイ・ニケーズ」に加わり、先代のワイン造りを尊重しながら「クレモン」が考える理想のシャンパーニュを目指している。
ここ数年、シャンパーニュにおいて若手の台頭が目覚ましいが、「クレモン」もその 1 人。
「ラファエル・ベレッシュ」と「オーレリアン・ラエルト」とは醸造学校で5年間共に学んだ大親友。今でも毎週、意見交換をしている。
『クレモンは義父のワイン造りを尊重しながら、少しずつ自分の経験を活かしたワイン造りに変えている。畑のポテンシャルは元々高いので、これから注目すべき造り手だ』/「オーレリアン・ラエルト」

《ドン・ペリニョンと同じ丘の区画
現在9.3haを所有。大部分はオーヴィレ村。村の中心にあるチョーク層の丘は高品質の葡萄が採れることで古くから知られていた。

現在は「モエ・エ・シャンドン」が大部分を所有。主にドン・ペリニョン・ロゼに使用されている。

畑は1ha以下の小区画ばかり。斜面によって露出する土壌が異なるので砂が多く、熱がたまる畑にはピノ・ノワールを。石灰が多い区画にはシャルドネ。

『モエ・エ・シャンドンがほとんどを所有しているのでオーヴィレ村のテロワールが語られることがない。ド ン・ペリニョンだけではない』

以前はピノ・ムニエも多く栽培されていた。しかし近年 では大手ネゴシアンやメゾンに販売する栽培農家は 買取価格の高いピノ・ノワールやシャルドネばかりを栽培するようになってしまった。

『もっとピノ・ムニエ注目すべきだ。斜面上部の森の近くには厚い粘土土壌がある。石灰岩盤の上の厚い粘土層。日照量も多いのでピノ・ムニエに最適。 偉大な品種へと昇華する』

現在も 1 番良い区画ではピノ・ムニエを植えている。

ベースのキュヴェ「ブリュット・レゼルヴ」には 30%のピノ・ムニエをブレンド。シャルドネにはないフレッシュさとピノ・ノワールにはない骨格をワインに与えている。

《変化するワイン造り》
義父のワイン造りを尊重しながら、「クレモン」の考えを少しずつ取入れている。

『発酵槽は小さなものに変更した。できるだけ区画毎に発酵・熟成させることでアッサンブラージュの可能性を広げたい。味わいのバランスを取れる』

先代から受け継いだ水平式プレスを引き続き使っているがプレスは手動に切り替え以前より優しくなり、セカンド・プレスの使用は止めた。 更に、オーヴィレ村の森から伐採したオークを使って樽を作り、発酵・熟成を行うなど意欲的。 より、オーヴィレ村の個性を感じられるシャンパーニュ を目指している。

スペシャル・キュヴェの「ノワール・ブリュット」はオーヴィレ村のピノ・ノワール100%。「ロール」の祖父が残した葡萄栽培の記録を元に特に優れた3つの区画の葡萄を使用。オーヴィレ村産オーク樽で熟成させている。ヴァン・ド・レゼルヴはソレラで熟成した複数ヴィンテージのワインを使用。デゴルジュマン後のコルク栓は、ド ン・ペリニョンの時代と同じく麻の紐を使いひとつひと つ手作業で結んでいる。

木樽発酵でシャンパーニュではなく『ワイン』を造る、ドノン

シャブリに近いコート・デ・バール。シャンパーニュではここにしか無いキンメリジャン土壌を活かしたワイン造り。全て のキュヴェはブルゴーニュと同様に木樽で発酵・熟成される。

《キンメリジャン土壌》
『素晴しいシャンパーニュを造るには、まず素晴らし いワインを造らなくてはならない。泡で誤魔化された 中身の無いシャンパーニュは嫌いだ』

物静かな当主「ダヴィ・ドノン」。言葉は少ないが、スト レートで遠慮のない物言いで目指すところが明快。他 の人のシャンパーニュや考え方には全く興味がない ようだ。考え方はシンプル。 待つ事を恐れ、果実中の要素が成熟していない未 熟な葡萄を収穫して砂糖を足して発酵させるシャン パーニュは味わいの要素が明らかに少ない。

『2 次発酵前の状態では飲む事もできない。味が無 い。そんなシャンパーニュが多過ぎる』

「ドノン」はシャンパーニュ南端「コート・デ・バール」に 位置。この地域の特徴は隣接するシャブリと同様の キンメリジャン土壌。標高は 300m程度だが斜度がき つく年間を通して風が吹くので乾燥している。 良質の後期キンメリジャン土壌が露出する丘の中腹 部分のみに葡萄が植えられている。

『チョークの「モンターニュ・ド・ランス」の細かく直線的 なミネラルに比べて「コート・ド・バール」はキンメリジ ャン由来のヨード感の強いミネラルが感じられる』

醸造所は携帯電話も通じない「アヴィレ-ランジェ村」。 住人は 200 人ほどでまわりは麦畑と放牧が主。「ダヴ ィ・ドノン」はこの地域に 2ha を所有。 更に、同じ理念を持つ近隣の造り手より 5ha の葡萄 購入し、5,000 ケースのみ生産している。

《木樽熟成がワインに骨格を与える》
「コート・デ・バール」の土壌を表現したシャンパーニュ を造る為に彼等が最適と判断したのは木樽で発酵・ 熟成させるブルゴーニュのワイン造り。

『収穫は 10 日程度遅い。ゆっくりと成熟させること で葡萄は糖度と共にタンニンやアントシアニン、香 味成分も蓄える。葡萄自体の力で 1 次発酵しワイン になる。この時点で葡萄の味がすべき。シャンパーニ ュを造る前にワインを造っているのだから』

彼のシャンパーニュは全て古バリックで発酵・熟成が 行われる。樽材は「フランソワ・フレール」など一流の もの。今年買い入れた樽は有名生産者がピュリニ ー・モンラッシェで 5 年使用されたもの。

『小さい単位で発酵・熟成を行うことでその区画を 理解できる。更に微量の空気との接触がワインに骨 格を与えてくれる。ワインそのものに骨格があればド ザージュを減らす事ができる。よって、より的確にテロ ワールを表現出来る』

その年の葡萄の出来具合によっては一部ステンレス タンクも使用するが、ヴァン・ド・レゼルヴも含めて全て バリックで熟成している。

『バリック熟成は手間がかかる。澱を健全に活かし ておかないと悪い香が出る。清潔に保つことも重要。 蒸発した分を継ぎ足し酸化を防ぐことも重要』

1 年間で 2 樽分のワインが蒸発して無くなってしまう のだから経済的にも負担は大きい。

《最低24カ月以上の瓶内熟成》
瓶内 2 次発酵後の熟成にも彼の拘りがある。全ての キュヴェにおいて最低 24 ヶ月の熟成の後にデゴルジ ュマンを行う。 そしてデゴルジュマン後、最低 12 ヶ月間瓶内熟成を してから出荷する。熟成の期間は一定では無く、試 飲を重ねてフレッシュさと熟成の具合がバランスをと ったと判断した時に出荷する。

『バリック熟成でワインは酸素と既に触れ合っている。 強いワインだ。だからこそデゴルジュマン後の瓶内熟 成が重要。で 12 ヶ月程度で旨みが出てくる』

「ダヴィ・ドノン」が目指しているのはあくまでもワイン。 果実の味、骨格が重要で泡が無くても美味しいもの であるべきと考える。北部のミネラルに支えられたシ ャンパーニュとは全く別のワインを目指している

ジュヴレ・シャンベルタンのテロワールを極める銘醸生産者、アルマン・ジョフロワ

≪ジュヴレ・シャンベルタンの地で5世代受け継がれてきた伝統≫
ジュヴレ・シャンベルタンの地で代々家族経営で営まれてきたドメーヌ。19世紀終わり頃、2.5haの畑からからドメーヌをスタートさせ、現在は5代目のフィリップ・アルマン氏が9haの畑からワインを造り出しています。フィリップは2005年からドメーヌに参加。「テロワールの表現のためには近代的アプローチよりも伝統的な手法が適している。」との考えのもと、代々受け継がれてきた伝統的なワイン造りを踏襲しています。
所有する村名格以上の畑は全てジュヴレ・シャンベルタン村に存在するという、まさにジュヴレ・シャンベルタンに根ざした生産者です。

所有する村名クラス以上の畑は全てジュヴレ・シャンベルタン村に
『ジュヴレ・シャンベルタン プルミエ・クリュ ラ・ペリエール』 (所有面積0.28ha)
マジ・シャンベルタンのお隣、斜面下方に位置する畑。ブルゴーニュでペリエール(採石場)と名が付く畑は良い畑であることが多く、それは土壌に石が多いことに由来していると言われています。ジュヴレ・シャンベルタンのラ・ペリエールは赤果実のアロマがよく表現される畑とされます。

『ジュヴレ・シャンベルタン プルミエ・クリュ ラヴォー・サン・ジャック』 (所有面積0.68ha)
冷たい風が吹き抜けるラヴォー小渓谷に位置する冷涼な畑。ジュヴレ・シャンベルタン  プルミエ・クリュの筆頭と言われるル・クロ・サン・ジャックに隣接。骨格がしっかりしていながら、緻密さとエレガンスさも兼ね備えた優れたワインが生まれる畑と言われています。濃厚で色の濃いピノ・ノワールではなく、赤果実系の風味に溢れフィネスを感じるワインが生み出されます。アルマン・ジョフロワのラヴォー・サン・ジャックは野性味、深み、丸み、肉厚さが特徴です。

『マジ・シャンベルタン』 (所有面積0.8ha)
ジュヴレ・シャンベルタンの特級畑群の北端に位置し、小道を挟んで斜面上方のマジ・オーと下方のマジ・バのリューディに分かれてます。マジ・オーはクロ・ド・ベーズと同じ母岩の上に載っているとされ表土が薄く、マジ・バより僅かですが品質が勝ると言われています。アルマン・ジョフロワは両方に畑を所有しており、より複雑さを帯びたワインを生み出しています。ワインは堅牢な骨格と大いなる力強さを兼ね備え、他の特級畑と比べ野性的でタンニン、なめし皮、ミント、甘草のニュアンスがより感じられます。

≪自然によりそうブドウ栽培≫
テロワールの表現のために畑作業でも伝統に則ったブドウ栽培を行っています。農薬、除草剤、殺虫剤などの薬剤はもちろん使用しておりません。頻繁に畑を耕すことで根がしっかりと地中深くまで伸びるようにしています。完熟したブドウを得るために、その年の天候に合わせグリーンハーベストや除葉を行うなど毎日畑で作業をしています。収穫時は畑で選果し、その後ドメーヌに戻ってからも選果を行うという徹底ぶりで、しっかりと熟したブドウのみを醸造にまわしています。

≪天然酵母で醗酵、100%除梗しフィルタリングは行わない≫
テロワールを表現するために天然酵母のみで醗酵を行います。梗から抽出される成分がワインに影響を与えることを嫌うため、ブドウは100%除梗しています。5日間の低温浸漬の後に醗酵、澱下げのためのタンパク質の添加やフィルタリングも行わずブドウが持つ要素をそのままボトルに詰め込んでいます。
村名クラスまではステンレス・タンクにて醗酵しプルミエ・クリュ以上の上級キュヴェについては、急激な温度変化が起こらず、管理にも慣れているコンクリートの醗酵槽でより丁寧に醗酵を行っています。新樽の使用比率にもとても気を使っており、樽の香りだけが前面に出てしまわないように注意しています。
亜硫酸の添加も極力少なく抑えており、ボトリング時に20mg/Lから25mg/L程度の添加となります。

2014 ジュヴレ・シャンベルタン アルマン・ジョフロワ

【2014 Gevrey Chambertin – Harmand Geoffroy】

醗酵:ステンレス・タンク 主醗酵後、オーク樽にてマロラクティック醗酵
熟成:オーク樽 12カ月(仏産、228L、新樽比率20%)

>> アルマン・ジョフロワについて


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FLEG麻布十番primo 3F
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『エルヴェ・ジェスタン』の集大成、ルクレール・ブリアン

エルヴェ・ジェスタンがコンサルタント業を辞め、自らオーナー兼醸造責任者となり、今までの経験を活かした醸造所を設立。エルヴェにしか造れない「力強さ」「複雑味」「ピュアさ」を持っている。

≪シャンパーニュ初の有機栽培≫
1872年にキュミエールに設立された「ルクレール・ブリアン」。1955年には4代目のベルトランがシャンパーニュで初めて有機栽培を導入した。
ベルトランの息子「パスカル」はルドルフ・シュタイナーを学び、父の考えを更に昇華させていく。
『遂に1985年、ビオディナミを導入し、シャンパーニュ史上初のビオディナミ・ドメーヌとなった』
しかし、2010年、突然他界し、残された4人の娘は若過ぎてワイナリーの存続は困難となってしまう。自力での存続を諦め、3人に譲渡された。
『醸造家エルヴェ・ジェスタン、元モエ・エ・シャンドンのディレクターフレデリック・デメット。そして出資家のアメリカ人が共同でオーナーとなった』
こうして2012年、「エルヴェ・ジェスタン」を中心とした新しいルクレール・ブリアンが誕生。
『エルヴェの支持者であるアメリカ人が投資し、醸造所を再構築。エルヴェの理想を追求する環境を整え、エルヴェの集大成を目指している』
醸造所にはアンフォラ、ウッフ、アース付ステンレスタンク、金でコーティングされた樽と多くの実験的発酵・熟成容器が揃っている。
『これに併せて、エルヴェは全てのコンサルタントを辞め、ルクレール・ブリアンに集中することを決めた、自らの集大成を目指している』

≪エルヴェ・ジェスタン≫
父親がネゴシャンを経営していたので7歳からワインを経験し、醸造学校で学んだ。1982年、「デュヴァル・ルロワ」の醸造責任者に就任。25年かけてトップ・メゾンの1つにまで押し上げた。
『醸造、微生物、地質、発酵物理学を学び、経験すれば美味しいワインを造ることはできる。しかし、真に偉大なワインは、それだけでは造れない』
真に偉大なワインを造るには醸造学ではなく、「善意」を持って全ての行程を辿り、葡萄を通して地球、宇宙のエネルギーを得る事だった。
『例えば、還元も「善意」の欠如。ワインの状態を注意深く感じ、ワインが求めることをしていれば還元する事はないのだから』
瓶詰め前にはワインの一部を抜き取り、ボトルに触れさせ、タンクに戻す。この作業でワインはガラスを経験し、瓶詰めの準備ができる。
瓶詰めは葡萄の花が咲いてから7月に行う。これも善意。咲く前に瓶詰めしてしはいけない。それではワインは葡萄樹と離れる準備ができていない。
『このような少しの「善意」の繰り返しでワインのストレスは減り、ワインが持つ情報が素直に味わいとなって出てくる。これが「純粋さ」なのです』
エルヴェはシュタイナー理論が現代に合わなくなっていると言う。地球も1世紀前とは変わったのだからビオディナミも変わらなくてはいけないと言う。
同時に、栽培に関するビオディナミの考え方は実践されているが、醸造段階でのビオディナミは実践されていない。これが必要だと気付いた。
『ビオディナミ栽培は葡萄樹が何を求めているかを知る事から始まる。醸造もモストやワインが何を求めているかを理解する事から始まる』
例えば圧搾は葡萄の組織を破壊する、葡萄にとってはカオスの状態。その状態から発酵が始まるのだから優しく休ませなくてはいけない。
そして、アルコール発酵は太陽の影響下、マロラクティック発酵は火星の影響下にあるのだから人間がコントロールしてはいけない。
『葡萄、ワインの生命サイクルを理解すると発酵は地球、宇宙の情報をワインに移す作業と言える。地球の状態もワインに関係するという事』

≪エネルギーとレゾナンス≫
香や味わいとは別に、人間が偉大と感じるワインにはエネルギーが関係している。そのエネルギーの最大化こそがエルヴェにとって最重要。
『物理学者が50年代に考案したレシュール・アンテナでワインのエネルギー量を測ることができる。私のワインは200,000ボビーだ』
普通のワインで12,000程度。オーガニックワインで18,000、ビオディナミで30,000程度だが、彼のワインは50,000~200,000まで上がっている。
『エネルギーは味わいには関係しない。人間の体との共鳴、適合性のようなもので、人の感情を動かす1つの要素』
エルヴェの言う「共鳴」はワインに情報を移していく為のもので、ワインは自然のメッセンジャーなのだから畑、葡萄、地球、宇宙の情報を得なくてはいけないという考え方。
『木樽は地球との共鳴に強く。アンフォラは「宇宙との共鳴。金を内側に貼った樽は太陽との共鳴を得ることができる』
材質の異なる熟成陽気で色々な情報をワインに移していく。葡萄品種で言えば、シャルドネは宇宙でピノ・ノワールは地球的。この情報をしっかり移し、バランスを取る事が重要。
新しいキュヴェ「ピュール・クラマン」では酸化防止剤無添加を成功させている。
『酸素は敵ではないとワインに教えてあげ、お互いの居場所を作れば、ワインは健全な状態で酸素を受け入れることができる』
善意を持って全ての行程で改良を重ねてきたエルヴェのワインは醸造技術以外の部分でも細心の注意が払われている。飲み手を幸せにするエネルギーと自然のメッセージ(癒し)を持っている。

アイ村内の最良の区画を多く所有する1584年以来脈々と続く栽培農家、ゴセ・ブラバン

≪ワイナリーの歴史≫
モンターニュ・ド・ランス、コート・デ・ブラン、ヴァレ・ド・ラ・マルヌと3地区が交差するシャンパーニュ地方の中心地、特級アイ村。17あるグラン・クリュ村の中でも力強さと優美さを兼ね備える卓越したピノ・ノワールの産地として、中世よりシャンパーニュ最上とされています。現在全体の半分以上が大手メゾン所有となっているアイ村内の最良の区画を多く所有するゴセ家は、1584年以来脈々と続く栽培農家で初代ジャン・ゴセはアイ村の領主であり、メゾンのゴセとルーツを共にする名家です。ボランジェの真向かいにドメーヌを構えるゴセ・ブラバンは、1930年にガブリエル・ゴセがメゾン・ゴセから独立し、妻の旧姓であるブラバン家の名を合わせて元詰めを開始しました。

創業以来ヴィニロンとしての誇りを今日受け継ぐミシェルとクリスチャン・ゴセ兄弟は、丹念に育てたぶどうを元に偉大なアイ村のテロワールを最大限引き出すというシンプルな哲学を掲げています。ゴセ・ブラバンのワインは優美で力強さも兼ね備え、一貫して豊かながらもキメの細かさがあり、常にシャンパーニュの歴史の中心にいたアイ村そのものの様な堂々とした王道をいく古典的な味わいが特徴です。数少ないアイ村産のコトー・シャンプノワ、アイ・ルージュの生産者としても知られています。

≪ワイン造り≫
リュット・レゾネを採用し、よりテロワールを反映したブドウを作ることが最も大事だという考え方に基づき、剪定や適芽などの畑仕事により収量を制限し、そのテロワールの魅力を最大限に引き出す為にパーセルごとに醸造を行っています。アイ村のシャンパーニュに樽は必要ない、という考えから醸造は全て小型ステンレスタンクにて行われています。