ルロワのワイン造りを理想とし、濃厚から繊細 で伸びのあるワインに進化、フレデリック・マニャン

【2012 Morey-St.-Denis Coeur D’Argile – Frederic Magnien】

ブルゴーニュの多くの造り手が「フレデリック・マニャン」の成功を羨んでいる。同時に近年のワインの大きな変化に驚いている。
1 代でドメーヌを築き上げたシャブリの重鎮「ジャン・マルク・ブロカール」も「フレデリック」の仕事と情熱を 絶賛している。 『昔のヴィニュロン以上に畑で働く。だから彼はいつも日焼けしている。一時期悩んでいたようだが今は焦点が定まったね。ワインを飲めば解る』
「フレデリック」は全てのブルゴーニュの畑、区画、そして所有者まで知っている。毎日、畑に出て自分の足で条件に合った畑を探し出し、所有者と交渉するということを10年以上繰り返してきたから。彼等は畑の所有者から委託を受け、栽培チームを派遣し畑の管理を全て自分達で行う新しい形のネゴシアン。書類上はネゴシアンだがドメーヌと変わりない仕事をしている。『栽培責任者はルロワにビオディナミを導入した人で30年以上ルロワの栽培を指揮してきた。より繊細で果実のピュアな部分を重視したワインに進化していきたい』 ネゴシアンとして土壌を表現するためには従来の葡萄買いや樽買いでは不可能。栽培から関わり、理想の葡萄を育て、理想のタイミングで収穫することができなければ理想のワインはできないのだ。
土壌の表現に拘る「フレデリック」。100年前に決められたAOCには納得していないようで、その枠に収まらない取組も始めた。鉄の多い畑から造ったワインに「クール・ド・フェ―ル(鉄)」。石の多い畑を合わせたワインに「クール・ド・ロッシュ(石)」。そして、粘土の強い畑のワインには「クール・ダルジール(粘土)」と表記したのだ。 『ヴィラージュ・ワインを造る時、村の個性以上に各畑の土壌の個性が勝ることがある。それならばその事実を表記するべきだと思った』
畑を選ぶ時に土壌と樹齢を最も重視している。
『ヴィラージュ・ワインでも最低40年の樹齢が条件。土壌の個性を表現するにはある程度根を伸ばす必要もあるし、樹勢を落とし、樹中の水分量を減らさなければならない』
10年以上前から有機栽培を取り入れ、太陰有機法に従った栽培や醸造を行ってきた。最近の「フレデリック」はより自然で人為的介入を少なくする方向に向かっている。
『D.R.C よりルロワが好きだ。1点の汚れもない完璧に整理整頓されたワインよりも、欠点があっても伸びやかで定規で測れないワインが好き』 通常、春に葡萄房が形成され始めるとツルの先端を切り落とし、ツルを伸ばす為に使う養分を葡萄房に使わせるようにする。葡萄の生育を促す栽培法でほぼ全ての造り手が導入している。 『春の摘芯もやめた。養分の分配は葡萄樹が自分でやる。人間がやるべきではないし、ツルを切られることのストレスの方が大きい』 ワイン造りは造り手の趣向やトレンドを極力排除した自然な形でありたい。醸造はグラン・クリュもACブルゴーニュも基本的に変わらない。

日本に初めて「フレデリック」のワインが紹介されたのは「バレル・セレクション」という手法だった。インポーターが樽買いし日本国内で流通させた。
『当時の日本の流行でもあったのか日本は新樽100%しか買わなかった。実際は新樽の比率は当時でも50%以下だった』 日本に最初に紹介された「フレデリック・マニャン」は新樽100%のみだったので彼のワインに今でも樽のイメージを持つ人も多い。
加えて2002年まではノン・フィルターで少し濁っていたし、収穫も今より遅く、今より少し過熟だった。そして、マセラシオンも長かった。ここ数年で「フレデリック」の評価は一気に高まっている。2000年代前半まではワインに悩みが現れていたように思う。通過点だったのかもしれない。『ジャー(アンフォラ)での熟成も開始。スペイン製の薄い素焼きの甕での熟成により、水分が少し蒸発し、若干凝縮する』 内側を蜜蝋で焼き固めていないジャーを使用。香成分や水に溶ける成分は何も無いのでバリックのようにタンニンや香をワインに与えない。『葡萄そのものの個性を出してくれるが、現段階では、単体では複雑味に欠けると判断。バリック熟成のワインとのアッサンブラージュでバランスをとる』 2012年版ベタンヌ・ドゥソーヴではネゴシアンとして最高評価のBDマーク4つを獲得し一流のドメーヌ以上の評価を獲得した。ベタンヌのコメントが印象的で的確だった。『フレデリック・マニャンは変わった。他のネゴシアンと区別しなくてはいけない。難しい年だった2008をとても上品に仕上げ、それが本物だということを2009年で証明した。今後も楽しみだ』

《Morey-St.-Denis Coeur D’Argile》
国号74 号線沿い、ジュヴレ村寄りのLes Herbuottes, Les Chenevery, Clos Solon 等の10区画。粘土を意味するArgileの名の通り、粘土質を多く含む土壌で凝縮した力強い葡萄を産む。標高250m。平均樹齢は35年。収量は45hl/ha に制限。除梗後5日間のマセラシオン。自然酵母で発酵。13ヶ月の樽熟成。


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36年間DRC社の礎を築いた頑固職人が拓いたドメーヌ、クリストフ・シュヴォー

【2014 Morey-St.-Denis – Christophe Chevaux】

超ド級の頑固職人ベルナール・シュヴォーは、1962年から1992年までの30年間、DRC社の正社員として栽培・醸造の両面で同社の礎を築いてきました。定年後も1998年まで契約社員として引き続き勤務し、その期間中に彼から学んだアンリ・オーディフレッド(1993年入社)曰く、「仕事は盗んで覚えろ、というような根っからのアルティザンで、ほとんど何も教えてくれませんでした。ですので、実際にあの親父さんから盗んで覚えました(笑)。特に畑仕事に関しては神様のような人でした」。
ベルナール・シュヴォーはDRC社勤務の傍ら、1966年にヴォーヌ・ロマネ村に小さなドメーヌを拓き、休日や夜間に細々とワイン造りを続けてきました。
ちなみに彼の奥さんも元DRC社員で、職場結婚でした。また、夫妻には4人の息子と2人の娘がいますが、長男、次男、三男は、現役のDRC社員です。
1992年、24歳になった四男のクリストフを、設立3年目を迎えていた「プリューレ・ロック」のアンリ・フレデリック・ロックの元へ修行に出し、10年後の2001年に、このクリストフが実家のドメーヌを継承することになりました。
「10年間、正社員としてプリューレ・ロックに勤務しました。父から教わったDRCにおける栽培と醸造、そして、実際に僕がロックで携わってきた栽培と醸造は、多くの点で実によく似ています。そのほぼすべてを、僕のドメーヌでも採用しています。というかそのやり方しか知らないので・・・。ただ、家族で細々とやっているドメーヌで栽培担当者を何人も雇うことはできないので、完全なビオロジーは難しく、身の丈に合ったリュット・レゾネに取り組んでいます。あと、SO2をまったく入れないのは醸造中に酸化するリスクが極めて大きいので、僕は必要最小限、使うようにしています」(クリストフ・シュヴォー)。
オーディフレッドの畑もそうですが、プルミエ・クリュもグラン・クリュも持っていないシュヴォーの村名畑が、DRCの畑ばりに深々と、ごっそりと耕されているのを見ると、本当に呆気にとられます。
「とにかく畑を耕して耕して、土に空気を取り込むことです。それが基本中の基本で、かつ、最も大事なことです。除草剤も殺虫剤も必要ありません」。
どんな味わいのワインを造りたいのですか?との質問には、「doux et souple」(優しくしなやかなワイン)との即答。試飲すると、口当たりは確かにdoux et soupleですが、旨味が後から後から途切れることなく湧き上がってきます。

品種:ピノ・ノワール


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高い新樽率でも若いうちから楽しめる心地よさが人気のドメーヌ、レシュノー

【2009 Morey-Saint-Denis – Philippe et Vincent Lecheneaut】

フィリップとヴァンサンのレシュノー兄弟が運営するこのドメーヌは、1986年創業の若さながら瞬く間に高評価を得て成長した
今はなきモランというネゴシアンで働いていた父、フェルナンがふたりに残した畑はわずか3ha。それを18アペラシオン(年によって変動あり)、およそ10ヘクタールの規模にまで拡大させたのだ。

ニュイ・サン・ジョルジュを拠点とするドメーヌだが、畑はさまざまな村に点在。
マルサネ、ジュヴレ・シャンベルタン、モレ・サン・ドニ、シャンボール・ミュジニー、ヴォーヌ・ロマネ、ニュイ・サン・ジョルジュ、ショレイ・レ・ボーヌ……、そしてオート・コートにも。

ブドウ栽培は事実上のビオロジックで、いくつかビオディナミ的な調合物も使っている。しかし、認証を得るつもりはまったくない。
醸造方法をみると、原則的に100%除梗だがヴィンテージとクリマによってはいくらか梗を残す。10〜12度の低温マセレーションを4、5日続けた後、自然にアルコール発酵。トータルで3週間のキュヴェゾンを行う。
その後、およそ16ヶ月の樽熟成。村名ワインでも新樽率は50%と比較的高く、ニュイ・サン・ジョルジュを例にとると1級レ・ダモードは70%、プリュリエは100%に上がる。これだけ高い新樽率も、ワインの凝縮度に自信があるからにほかならない。

近年の変化は、村名のニュイ・サン・ジョルジュ・レ・ダモードが、2011年より1級レ・ダモードになったこと
ヴォーヌ・ロマネとの村境に位置するこのクリマは上が村名、下が1級で、レシュノーはそれぞれ0.3haと0.7ha所有しており、以前はふたつをアッサンブラージュして村名のレ・ダモードとしていた。この村名部分を畑名なしのニュイ・サン・ジョルジュに混ぜ、レ・ダモードは晴れて1級を名乗ることになったのだ。
また2007年にモレ・サン・ドニの斜面上部に植えたシャルドネは、これまでブルゴーニュ・ブランとしてリリースされてきたが、2012年よりモレ・サン・ドニ・ブランとなる

レシュノーのワインは果実味豊かで丸いタンニン。若いうちから楽しめる心地よさが人気の秘訣だ。

《Morey-Saint-Denis》
よく熟したラズベリーやブラックベリーの果実香に甘草を思わせるスパイシーなニュアンス。凝縮感に富み、豊かな果実味が感じられる一方、やや骨太な印象のストラクチャー。飲み応えのある村名モレ・サン・ドニ。

品種:ピノ・ノワール


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