フィリップ・パカレに学んだ女性醸造家、ファニー・サーブル

《フィリップ・パカレに学んだ》
注目の女性醸造家「ファニー・サーブル」。父が 2000 年に急逝、22 歳でドメーヌを継承した。 突然、醸造家を失ったドメーヌを支えたのが当時「プリューレ・ロック」の醸造長を辞め、自らのネゴシアンを立ち上げていた「フィリップ・パカレ」。
『フィリップと出会えたのは幸運だった。彼のお陰で質より量を重視していた父のワイン造りから脱却し、 品質主義に方向を転換できた』
彼女の父が所有していた畑は「フィリップ」の指導で徐々に本来のポテンシャルを取り戻していく。
『醸造でも野性酵母のみでの発酵。そして、勿論全房発酵を導入した』

《小区画から少しずつ》
所有する畑は約 5ha。全て「コート・ド・ボーヌ」でかなり小さく分割されている。
『小さくてもいいので優れた区画を選んでいる。土壌構成とクローンが多産性でなく、ある程度の樹齢を超えていること』
基本的に栽培・醸造は「ファニー」が全て 1人で行っている。造っているのは全部で 18 キュヴェ。平均すると各キュヴェは僅か 3~4 樽程度と少ない。全て予約で完売。日本へも割当てとなっている。
『ヴァン・ナチュールと呼ばれるワインはAOCの個性を消してしまいがち。私はポマールであればポマールの味わいがするべきだと思う』
彼女のワインは「テロワール」と「ヴィンテージ」を愚直に表現する。2013 年等の難しい年はロゼのような色調に仕上がるが醸造による修正は行わない。
『熟度が上がらずタンニン、アントシアニンが成熟しなければ色素は固定されない。タンニンを足せば色調は安定するが味わいは崩れてしまう』
ピノ・ノワールは元々色素が薄い。マセラシオンを延長してタンニンを増やすことで色合いは濃く、綺麗に仕上がるが彼女はその年本来の味わいを優先したいのだ。

《ボーヌを代表する女性醸造家に》
最近は理想のワイン造りが解ってきたそうでフィリップに教わった事を基本に自分の手法に変えている。
『現在も全房発酵は変わらない。でもマセラシオン時の二酸化炭素注入は止めた』
全房発酵は茎の間に空気が入り、バクテリアの繁殖や酢酸の発生のリスクが高まる。二酸化炭素を使わなければ更にリスクは高まるが、腐敗果を完璧に取り除くことで対応している。白は空圧式プレスで搾った後、500Lの樽で発酵・ 熟成。フィリップとほぼ同じ考え方。 赤は開放型の木樽とコンクリートタンクでアルコール発酵。糖度が 2~3g 残った状態でバリック樽に移し換えて最後まで発酵させる。
『赤ワインは少しの糖を残して樽に移し発酵を続ける。発生する二酸化炭素がワイン中に残り酸化か ら保護してくれる』
こうすることでマロラクティックもスムーズに進むこと が分かった。赤も白も還元寄りの造りには変わりはない。