徹底したこだわりを貫く究極のエレガンス、パトリス・リオン

ニュイ・サン・ジョルジュに本拠地を置くパトリス・リオンは、2000年に設立されたブルゴーニュの中でも新しいドメーヌ。ドメーヌの歴史は16年と浅いものの、生産年、銘柄に関係なく、毎年安定したハイクオリティなワインを手掛ける生産者としてフランス国内で非常に高い評価を受けています。有名な三ツ星レストラン「ジョルジュ・ブラン」をはじめ、パリのエリゼ宮近くにあるサルコジ元フランス大統領行きつけのレストラン「ル・ブリストル」など、錚々たる星付きレストランにオンリスト。本当に美味しいものを知っている人々から厚い信頼を勝ち得ています。

ドメーヌを設立したのは、ニュイ・サン・ジョルジュの名門ドメーヌ、ダニエル・リオンの長男として生まれたパトリス氏。彼はピノ・ノワールの神様と呼ばれるアンリ・ジャイエ氏からの強い影響を受け、オレゴンをはじめ各地でコンサルタントとして活躍するなど、天才的な醸造のセンスを発揮してきた人物。元々優良な畑を所有していながらも、パトリス氏の父の代では評価が低迷していたドメーヌを彼が引き継ぐや否や、一気にニュイ・サン・ジョルジュを代表する最高峰ドメーヌにまで引き上げました。その後、パトリス氏は独立し、現在は、息子のマキシム氏と共にワイン造りを行っています。

パトリス・リオンが所有する畑は、約6ha。ボンヌ・マールを筆頭に、ニュイ・サン・ジョルジュとシャンボール・ミュジ二ーを中心に全16銘柄を手掛けています。ボンヌ・マールの所有面積は0.06ha、その生産量は僅か300本程度と少なく、日本ではほとんど目にすることがない非常に稀少な銘柄です。トップキュヴェの入手は困難なものの、パトリス・リオンの注目すべき点は1級畑の豊富なラインナップ。それらにおいても実力が十分に発揮されており、エレガントな味わいを堪能することができます。

所有する1級畑は、シャンボール・ミュジニー最上級畑、レ・ザムルーズをはじめ、ニュイ・サン・ジョルジュ、ヴ―ジョの全8銘柄。どの銘柄も畑の個性をしっかりと反映しており、同じ村のキュヴェでも畑ごとのスタイルの違いを明確に味わうことができます。中でも、モノポール(単独所有畑)のニュイ・サン・ジョルジュ クロ・サン・マルクはドメーヌの実力を象徴する人気銘柄。ニュイ・サン・ジョルジュが持つパワフルさをしっかりと表現しながらも、どこかシャンボールを思わせるような華やかさを感じさせる、究極のエレガンスを追及したパトリス・リオンのスタイルを堪能する上で見逃せないキュヴェです。

さらに、パトリス・リオンのワインはその高いクオリティに対して、価格が抑えられている点も魅力の1つ。近年、価格高騰が目覚ましいブルゴーニュワインですが、パトリス氏はこのことに高騰に懸念を示しており、できる限り適正な価格で本当に美味しいものを味わって欲しいと考えているのです。

パトリス・リオンは「ドメーヌ」と「ネゴシアン」の2つの顔を持つ造り手。一般的に、「ドメーヌ」とは自ら所有する畑でブドウの栽培からワインの醸造まで全てを一貫して行うのに対し、「ネゴシアン」は他の造り手と提携し、ブドウやワインを買い取る形態を取ります。

しかし、パトリス氏はただのネゴシアンではなく「私はヴィニフィカトールだ」と言います。「ネゴシアン・ヴィニフィカトール」とは聞きなれない言葉ですが、自らの畑と同じ品質を確保するために、契約農家に対してブドウの栽培の指導、収穫を行う日の指示まで行い、厳格に管理されたブドウを買いつけ、醸造を行う形態のネゴシアンということです。つまり、自社畑以外の畑においても、栽培を徹底的に管理しているため、良質なブドウを育てることができるという、パトリス氏の品質に対する自信が表わされている言葉なのです。

パトリス・リオンの手掛けるワインは、まさに「究極のエレガンス」を体現したスタイル。しっかりと詰まったタンニンとエキス分がしっかりとありながら透き通った泉のように美しいワインが生み出されます。このスタイルは、ドメーヌものネゴシアンものに関わらず一貫されており、この安定したクオリティが三ツ星レストランにも選ばれる人気の高さを裏付けています。ドメーヌの歴史としてはまだ浅いものの、近年着実に成長し続けるブルゴーニュラヴァーにとって見逃せない生産者なのです。