「人生はカベルネだ!(Life is a cabernet!)」、シルヴァー・オーク

全米で最も支持を受けるカベルネ・ソーヴィニヨンと名高い、シルヴァー・オーク。創業者のレイ・ダンカン氏は1960年代後半にカリフォルニアを訪れた際、その土地の美しさに感動し、当時のワインブームの潮流を敏感に察知し、ナパ・ヴァレーとアレキサンダー・ヴァレーにいち早く土地を購入しました。ワイン造りの技術を持たない彼は知人のつてを頼り、「ミスター・カベルネ・ソーヴィニヨン」と称される醸造家ジャスティン・メイヤー氏と出会い、ともに1972年にシルヴァー・オークを設立しました。

シルヴァー・オークにまつわるあまりにも有名な言葉が「Life is a Cabernet!」 。このジャスティン・メイヤー氏の言葉は、「いくつものワインを造るのではなく、テロワールに則った、ただ1つのワイン」、「リッチで複雑。エイジングも可能だが、リリースしたてでも充分に楽しめる、そんな新しいカベルネ・ソーヴィニヨン」を造るという理念を元にカベルネ一筋に独自のスタイルを築いた彼の姿勢を象徴しています。
現在でも造るワインはナパ・ヴァレー・カベルネ・ソーヴィニヨンとアレキサンダーヴァレー・カベルネ・ソーヴィニヨンの2つだけ。1970年代以降、カリフォルニアのプレミアムワイナリーの多くがフレンチオークのバリック熟成に代表されるボルドースタイルに傾倒する中、あえてアメリカン・オークによる熟成を貫いてきました。

ジャスティン・メイヤー氏の後を継ぎワイン造りを担ったのは、ダニエル・バロン氏。1982年からフランスのペトリュス、カリフォルニアのドミナスというジャン・ピエール・ムエックス社が擁する仏米トップ・ワイナリーの醸造担当として活躍した輝かしいキャリアを持つ偉大な人物です。彼は1994年からシルヴァーオークでワイン造りに携わり、念願であったメルロのワインを造るべく、1999年には新たなブランド、トゥーミーを立ち上げ。いまではソノマにも所有畑を拡大し、ピノ・ノワールやソーヴィニヨン・ブランなどバラエティ豊かなワインを生み出しています。彼は惜しまれつつ2016年に引退しましたが、その技術は彼の右腕であり、イタリアの名門アンティノリ傘下のアンティカ・ナパ・ヴァレーで修業したネイト・ワイスが醸造家を務めています。

スクリーミング・イーグル、オーパスワン、ハーランと肩を並べる知名度と人気を誇るカリフォルニア屈指のワイナリーですが、圧倒的にアメリカ国内のファンが多いのがシルヴァー・オークの特徴。全米のありとあらゆるステーキハウスのワインリストに採用されており、「アメリカン・クラシック」とも言うべきテイストを守り続けています。

《絶妙な樽使いによって生み出される、華やかかつ上品な味わい。》
「リッチで複雑。エイジングも可能だが、リリースしたてでも充分に楽しめる」そんな新しいカベルネ・ソーヴィニヨンを造り上げるシルヴァー・オークのこだわりのひとつは、テロワールです。ナパ・ヴァレー、アレキサンダー・ヴァレーのそれぞれの畑には、同じエリアにありながら標高、地形、気候により全く特徴の異なる区画が3種類ずつ存在。その各区画から、果実味やアロマ、酸、エレガントな質感など別々の個性を引き出しブレンドすることで、豊かな果実味溢れる、複雑で奥行きのあるワインを生み出しています。

もうひとつが、アメリカン・オークによる熟成。アメリカン・オークとは、その名の通り、アメリカ産の木材で造られる樽のこと。フレンチ・オークと比較され、「安物」「低品質」などのマイナスなイメージが先行していますが、それはヨーロッパやニューワールドで使用されているアメリカン・オークの多くがコストダウンを目的とした低品質品であるため。
シルヴァー・オークは、最上級のホワイトオークの樽にこだわり、ミズーリ州にて30年以上家族経営を続けるバレルメーカー、A&Kクーパレッジ社とのパートナーシップを結び、専用の木樽を調達しています。使用する楢の木は樹齢80年。その木の木材を2年間は乾燥させてから樽に仕立てるという、実に時間と労力が掛けられたオーク樽から、他のどこにもない華やかで甘い樽香のニュアンスをプラスしています。
また、オーク樽からは香りとともに、木に由来する渋味、タンニンも加わりますが、シルヴァー・オークの場合、香りもタンニンも非常に上品で目立ちすぎることなく、よくワインに溶け込んでいます。醸造過程では、オーク熟成の前にワインのブレンドを完成させ、オークのニュアンスでワインをドレスアップさせるように考えられています。

そのスタイルと人気の秘密について、ワイン・エンスージアスト誌は 「多くのナパ・ヴァレー産のカベルネに比べて、オークの風味があくまで控えめに造られている。木の香りだけでなく、それを支えるようにハーブやタバコなどその他の要素がしっかり備わっている。その香り以上に果実味はたっぷりとあり、優雅さと繊細さがありながらまばゆいばかりの明るさがある。」と絶賛。アメリカン・オークを使用した他のワインと一線を画す、この華やかかつ上品な心地よいオークの風味が支持され、シルヴァー・オークはアメリカ中の高級レストランにオンリストされています。

《シルヴァー・オークを生み出す3人のキーマン》

[創業者] レイ・ダンカン(ダンカン・ファミリー)
コロラド州出身。1960年代後半にカリフォルニアを訪れた際、その土地の美しさに感動。当時のワインブームの潮流を敏感に察知し、ナパ・ヴァレーとアレキサンダー・ヴァレーにいち早く土地を購入し、ワイナリーを設立。設立当初より明確なワインのコンセプトを持った優れたリーダー。現在は2人の息子デヴィットとティムにワイナリー経営を譲っています。

[初代醸造家]ジャスティン・メイヤー氏
「ミスター・カベルネ」呼ばれるほどに、カベルネソーヴィニヨンを愛し、情熱を注いできた、ナパヴァレーのカベルネソーヴィニヨンを語る上で、外すことの出来ない人物。

[醸造家]ダニエル・バロン氏(1994年-2016年)
1994年からワイン造りに携わり、シルヴァー・オーク、トゥーミー両者の醸造責任者を務める。1981年からフランスのシャトー・ペトリュスに参加。帰国後、1994年まで12年間ドミナスで、ジャン・ピエール・ムエックスの仏米トップ・ワイナリーの醸造担当として活躍した輝かしいキャリアを持つ偉大な人物。
*現在、シルヴァー・オークではバロン氏の右腕であり。アンティノリ傘下のアンティカ・ナパ・ヴァレーで修業したネイト・ワイス氏が醸造家を務めています。