クリュッグにブドウを供給しているコート・ド・セザンヌのRM、ティエリー・トリオレ

シャンパーニュ地方におけるシャルドネの聖地コート・デ・ブランから西方へ続く細長い丘陵地に位置するコート・ド・セザンヌは、古くから大手シャンパーニュ・メゾンにとってシャルドネの素晴らしい供給源であった。白亜と粘土の混合土壌からは独特のミネラル感とボディ、そしてシャンパーニュ南部ならではの比較的温暖な気候からはブドウの高い熟度がもたらされる。同じシャルドネでもコート・デ・ブランの魅力が酸とミネラルが織りなす骨太なエレガンスならば、コート・ド・セザンヌの魅力は風味豊かな果実とフレッシュさを備えた大らかなキャラクターだろう。近年、栽培したブドウをメゾンに売るだけでなく、元詰めを始める家族経営のレコルタン・マニピュランが増えてきたが、ティエリー・トリオレもその一人である。

エペルネから約60km南西にあるベトン周辺の南斜面に所有する11haの畑には主にシャルドネが植えられている。栽培は化学薬品を用いないリュット・レゾネ。ブドウの樹がしっかりと地中深く根を張ることができるよう、特に土壌に取り組むのが重要という考えの下、除草剤を用いず、畑には出来るだけ野草を茂らせている。また凝縮したブドウを得るために収量も低く抑えている。
醸造においては、ホウロウ加工の金属製タンクで自然酵母を用いて区画ごとに発酵を行っている。その後どのワインもマロラクティック発酵させることで、この土地ならではのフレッシュさと柔らかな質感を引き出している。

ティエリー・トリオレでは1982年に元詰めを開始したが、現在でもクリュッグにブドウを供給している。シャンパーニュの最高峰が認めるクオリティの高いブドウから、コート・ド・セザンヌの大らかさとフレッシュさに満ちたシャンパーニュを生む優れたレコルタン・マニピュランだ。